大村市の「ボランティア福祉宣言都市」から学ぶ
令和の今、私たちの地域社会に直面しているさまざまな課題。
その根底には「支え合い」の価値が試されている時代の空気を感じます。
そんな中、ふと、大村市からの手紙の封筒が目にとまりました。
あらためて目にしたのが、大村市が平成4年(1992年)に掲げた以下の宣言です。
▷大村市「ボランティア福祉都市宣言」
(平成4年6月5日 宣言)
我が国は、急速に進む高齢化と共に社会が大きく変化するなかで、福祉に対する期待がますます高まっている。
このようなときにあたり、市民一人ひとりが福祉の担い手として地域活動に積極的に参加し、高齢者や障害者などに、温かいふれあいの心で接し、明るく住みよい環境づくりを推進しなければならない。
市制施行50周年にあたり、市民の理解と協力のもと新たな福祉のまちづくりを進めるため、ここに大村市を『ボランティア福祉都市』とすることを宣言する。
この宣言には、単なる行政スローガンではない、“まちづくりの本質”が込められていると私は感じます。
高齢者福祉や障がい者支援が、行政や専門職に任せきりではなく、
「市民一人ひとりが福祉の担い手となる」という、住民主体の思想が、すでにこの時代に明文化されていたのです。
社会構造の変化は、当時からさらに加速し、超高齢社会・孤立化・地域の担い手不足という課題が現実味を帯びています。
だからこそ今こそ、「ふれあいの心」と「積極的参加」が求められています。
福祉は、制度や施設の充実だけでは完結しません。
地域に生きる人たちが、互いを思い、支え合う意識を持つことこそが、真の福祉都市につながるのではないでしょうか。
私自身、地域での清掃活動や、防災・見守りパトロール、社会教育の現場に携わる中で、「市民がまちの力になれる」場面をたくさん見てきました。
・声かけひとつで誰かの孤独が和らぐこと
・道ばたのごみを拾うことが、防犯や防災の視点に繋がること
・誰かのために動くことで、自分も“生きている”と感じられること
そうした経験が、まさに「ボランティア福祉都市」の理念に重なっていると感じています。
この宣言がなされた1992年から、もうすぐ33年が経とうとしています。
しかしその内容は、色あせるどころか今こそ問い直すべき原点ではないでしょうか。
これからの大村市に必要なのは、市民一人ひとりが宣言の精神を「自分ごと」として捉えること。
そして、世代を越え、背景を越えて、誰もが参加できる“福祉のまちづくり”の輪を広げることだと、私は信じています。
市民とともに歩む福祉都市・大村。
その歩みは、私たち一人ひとりの心と行動によって続いていきます。